LIMSの主要機能とは?ラボ業務を効率化する5つのポイント

ラボ情報管理システム(LIMS)は、実験・分析業務の効率化や品質保証を支える重要なツールです。
しかし「LIMSって具体的に何ができるの?」「どんな機能があるのか分からない…」という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、LIMSに搭載される代表的な5つの主要機能を、初めての方にもわかりやすく解説します。
導入を検討中の方や、すでに使っているけれど活用しきれていない方の参考になれば幸いです。
サンプル管理:試料の一元管理とトレーサビリティ

サンプル(試料)管理は、LIMSの最も基本的で重要な機能のひとつです。
- 受入登録:サンプルを受け取ったタイミングで、試料番号、ロット情報、依頼内容などをシステムに登録。
- 一元管理:すべてのサンプル情報を一か所で管理。台帳やスプレッドシートによる管理と違い、漏れ・重複を防ぎます。
- 追跡可能性(トレーサビリティ)の確保:サンプルがどこにあり、誰が扱い、どのようなステータス(受領済/検査中/保管中/破棄済など)を経たのか、履歴として追跡可能。
LIMSならサンプルの受け入れ〜検査〜保管〜廃棄までを一元管理でき、追跡性(トレーサビリティ)も抜群です。
また、検体の状態(冷蔵・冷凍など)や保管期限、廃棄処理のタイミングまで把握できるため、ラボの運用効率とガバナンス向上にもつながります。
試験管理:業務の効率化と監査証跡の確保

試験管理機能は、ラボで行われる分析や測定業務の全体を支えるものです。
「いつ・誰が・何を・どうやって行うか」をデジタルで管理できます。
- スケジューリングと試験担当の割当て:業務の偏りや重複を防ぎ、適切なリソース配分が可能に。
- 作業の一貫性確保:標準作業手順書(SOP)に基づき、業務手順をシステム上でガイド。誰が行っても同じ品質の結果が得られる仕組みを構築。
- データ自動収集と一貫性の保持:測定機器との連携により、手動転記の手間やミスを削減。
- 進捗の可視化:試験のステータス(予定/実施中/完了/承認待ちなど)を一覧で確認でき、業務の停滞を防止。
- 監査対応:試験データの改ざん防止や、変更履歴(監査証跡)の自動保存によって、GxPやISOといった規制対応も安心。
これにより、属人化や作業の抜け漏れを防止し、正確で再現性のある試験運用を支援します。
また、「どの試験を誰が行い、どのように承認されたか」が明確になることで、品質保証だけでなく、外部監査時の対応も格段にスムーズになります。
品質管理(QA/QC):品質維持と法規制への準拠

ラボの運用では、「品質の一貫性」と「法令遵守」が求められます。LIMSの品質管理機能は、それを強力に支援します。
- 異常値の自動検出:あらかじめ設定した管理基準から外れたデータを自動で検出し、アラートを出します。
- 記録の一元化:試験成績書、逸脱記録、変更管理記録など、品質関連ドキュメントを一元管理。
- 法規制対応:GMP/GLPなどのガイドラインや監査要件に対応した記録と操作ログを保持。
LIMSを導入することで、手間をかけずに品質管理業務やコンプライアンス対応を効率化しつつ、監査や査察にも自信を持って対応できます。
帳票出力とレポート:報告・証跡を素早く正確に
紙やExcelでは時間がかかりがちな帳票作成も、LIMSなら自動で対応できます。
- 試験成績書、報告書、逸脱報告の自動出力
- PDF/Excel形式のカスタムフォーマット対応
- 監査・報告用レポートの一括生成
- 電子署名・承認履歴の反映
これにより、報告書のミスや手戻りを削減し、関係部署への迅速な情報共有が可能になります。
データ管理:情報活用と意思決定の加速

LIMSはデータベースとしても非常に強力です。蓄積された膨大な情報は、業務改善や経営判断の基礎となります。
- データの安全な保存とアクセス管理:アクセス権の制御やバックアップ機能により、データの保全性と機密性を確保。
- フィルター・検索機能:特定の条件で過去データを高速抽出。トラブル対応や再試験にもすぐ対応可能。
- 履歴データのグラフ表示や傾向分析
- 他システム(ERP/CDS/ELN)との連携
- データのエクスポートやBIツール連携
これにより、現場からマネジメントまで、すべての層が「データに基づいた判断」を迅速に行えるようになります。
具体的には、過去のデータをもとにした品質改善・予測・業務効率化なども現実的になるでしょう。
まとめ

LIMSは、ラボの試験業務を効率化するだけではなく、「品質の担保」や「監査対応」、「属人化の防止」といった、経営・法令遵守面でも重要な役割を果たします。
今回ご紹介した5つの機能は、LIMSの中でも特に多くのラボで活用されている基本的なものです。
もし、これらの機能を自社の業務にどう取り入れるべきか悩んでいる場合は、ぜひ専門家に相談してみることをおすすめします。
「LIMSの選定」や「導入設計」についても、別記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。