LIMSとは?初心者にもわかる、ラボ情報管理システムの基本

lims-start

「LIMSって最近よく聞くけど、実際にはどんなシステムなんだろう…?」

ラボや検査の現場でデータ管理や業務の属人化に悩む中で、「LIMS(ラボ情報管理システム)」に関心を持たれる方が増えています。

しかし、専門用語が多かったり、価格が高そうだったりして、「うちのような現場に本当に必要なのか分からない…」と不安になる方も多いのではないでしょうか?

本記事では、LIMSとは何か?どんなことができて、誰に向いているのか?を初心者の方にもわかりやすく解説します。

まだ導入は考えていないけど、基本だけ知っておきたい」という方にもぴったりの内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

LIMSとは?簡単に言うとどんなシステム?

LIMS(ラボ情報管理システム)の定義

LIMSとは「Laboratory Information Management System」の略称で、日本語では「ラボ情報管理システム」と訳されます。
主に研究所や検査機関、品質管理部門などで、サンプルの管理や実験データの記録・共有・保管を効率化するために使われるシステムです。

一言でいうと何ができる?

とても簡単に言えば、「研究や検査の業務をデジタルで“仕組み化”し、誰でもミスなく回せるようにする道具」です。たとえば、Excelや紙でやっていたサンプル管理や実験記録、進捗の共有などを、LIMSなら一元的に、安全に、わかりやすく管理できます。

LIMSが解決できる課題

  • サンプルの所在が分からなくなる
  • 実験ミスの原因が追えない
  • 担当者が休むと仕事が止まる
  • 外部監査やGxP対応に時間がかかる

このような「ラボあるある」な悩みに、LIMSは力を発揮します。

LIMSで何ができる?主な機能と役割

主な機能一覧

LIMSにはさまざまな機能がありますが、代表的なものは以下のとおりです。

  • サンプル情報の登録・管理
  • 分析・試験データの記録
  • 分析結果の承認フロー
  • 検査進捗のステータス管理
  • 試験成績書などの帳票出力
  • 検査履歴・トレーサビリティ管理
  • 他システム(ERP、機器、電子実験ノート等)との連携

各機能の詳細については、こちらの記事もご覧ください。
LIMSの主要機能とは?ラボ業務を効率化する5つのポイント

Excelや紙管理との違い

LIMSが特に優れている点は、「属人化を防ぎ、ミスを減らし、再現性と監査対応を担保できる」という点です。

項目紙・Excel管理LIMS
記録の一貫性担当者によってバラバラフォーマット統一で標準化
ミスの発生転記・入力ミスが多い自動化で防止できる
データ検索性探すのに時間がかかる数秒で検索・絞り込み
トレーサビリティ難しい全履歴を即座に追える
紙・ExcelとLIMSの違い

Excelや紙では、

  • ファイルが散らばる
  • 最新情報がわかりづらい
  • 手動の転記ミスが起きやすい

といった課題が起きがちですが、LIMSならデータの一元管理・自動化・アクセス権の制御などで、これらをカバーできます。

ラボで利用される他システムとの違い

LIMS以外にも、ラボにはさまざまなITシステムがあります。
たとえば、分析機器のデータを扱う「CDS」や、手順や記録を残す「電子実験ノート(ELN)」などです。

ただし、LIMSはそれらの情報を統合的に管理する“ハブ”のような役割を持っており、それぞれのシステムとは目的も立ち位置も異なります。
また、近年はこれらの機能を持つリッチなLIMSも増えてきました。
もし機能が重複する場合、役割分担や置き換えも含めて検討すると良いでしょう。

LIMSが使われている現場とは?

導入されている主な業界・部門

LIMSは、以下のような現場で幅広く使われています。

  • 製薬企業の品質管理部門(QC)
  • 化学メーカーの研究開発部門
  • 食品・飲料メーカーの検査部門
  • 環境分析ラボ
  • 医療検査機関
  • 大学・公的研究機関

LIMSがどのような業界で使われているか、またその理由については以下の記事で詳しく紹介しています。
ぜひ参考にしてください。

LIMSはどんな業界で使われている?導入が進む5つの分野とその理由

中小企業や小規模ラボでも使われている?

小規模ラボやスタートアップでも導入実績は増えています。

最近はクラウド型LIMSを使えば、初期費用を抑えて月額数万円〜でスタートできるサービスもあり、「とりあえず1部署だけ」での導入も可能です。

LIMSを導入するメリットと注意点

導入するメリットと注意点

ラボの業務は多岐に渡るため、LIMSを導入することで大きく効率化できます。
LIMSを活用する代表的なメリットは次のとおりです。

  • データの正確性・信頼性が向上
  • 記録作業が効率化され、残業や属人化が減少
  • コンプライアンスや監査対応がしやすくなる
  • チーム内での情報共有がスムーズに
  • 管理者の業務負荷が軽減される

ここでは代表例の紹介に留めますが、LIMSを活用するメリットは他にもたくさんあります。
詳しくはこちらの記事もご覧ください。

詳細:【これで解決!】LIMS導入のメリット5選

向いているラボ・向いていないラボ

LIMSの導入はラボの業務を大きく効率化しますが、注意すべき点もあります。
それぞれについて、以下の表にまとめました。

導入メリット注意点
データの正確性・信頼性が向上

記録作業が効率化され、残業や属人化が減少

コンプライアンスや監査対応がしやすくなる

チーム内での情報共有がスムーズに

管理者の業務負荷が軽減される
初期の構築や設計にやや時間がかかる

現場のオペレーションを合わせる必要がある

「ただ入れる」だけでなく、定着させる工夫が必要
LIMS導入のメリット vs. 注意点

以上を踏まえると、LIMSが向いているラボ・向いていないラボは、次のように言えます。

  • ✔ 向いている:試験数が多い/複数人で作業している/トレーサビリティが重要
  • ✘ 向いていない:記録作業が極めて少ない/完全に一人で完結している

まとめ|まずは「自社に合うか」を考えることから

LIMS(ラボ情報管理システム)は、実験や検査のデータ・進捗・帳票などを一元的に管理し、業務の効率化・標準化・品質向上を実現するツールです。

以前は大企業向けの高額なシステムというイメージもありましたが、近年は中小規模でも導入しやすいクラウド型LIMSなど、選択肢が広がっています。

とはいえ、LIMSには向き・不向きもありますし、導入には準備が欠かせません。

まずは「自社の課題を明確にすること」から始めて、無理なく、着実に改善につながるLIMS導入を検討してみてはいかがでしょうか?

✅検討にあたっては、こちらの記事もおすすめです。
詳細:【必見】LIMS導入でよくある失敗とその対策
詳細:LIMS導入が難しい理由と対策3選【分析機器の購入と徹底比較】

💬お悩み・ご相談もお気軽に

「ウチにLIMSって必要なのかな?」
「ちょっとだけ話を聞いてみたい」
そんなライトなご相談も歓迎しています。
現場目線で、無理のないLIMS導入についてアドバイスしますので、お気軽にお問い合わせください!

無料相談はこちら

目次